なぜ今「節税対策」が不動産オーナーに必要なのか？
不動産を所有して家賃収入を得ていると、避けて通れないのが「税金」です。せっかく得た収益も、税金の負担が重ければ手元に残るお金が少なくなってしまいます。
さらに近年は、固定資産税や都市計画税の負担増加、修繕コストの上昇などにより、オーナーの「手残り」が減る傾向にあります。だからこそ、正しい節税対策を早めに行うことが、将来の資産形成においてとても大切なのです。
この記事では、不動産オーナー初心者の方に向けて、今日からできる節税の基本とポイントをわかりやすく解説します。
１．よくある「節税していないオーナー」の落とし穴
初心者のオーナー様の中には、節税の意識が薄く、「知らない間に税金を払いすぎていた…」というケースも少なくありません。代表的な落とし穴をご紹介します。
● 家賃収入はあるのに手残りが少ない
毎月の収入は安定していても、税金・管理費・修繕費などがかさみ、「あれ、こんなに少ないの？」と感じることも。
● 経費を適切に計上していない
本来経費にできる支出（例えば修繕費や車両費、旅費交通費など）を見逃し、課税所得が大きくなってしまっている場合もあります。
● 青色申告をしていない
白色申告では控除が少なく、節税効果も薄くなります。青色申告は節税対策の第一歩です。
● 税理士に任せきりで内容を把握していない
税理士に申告を任せても、自分自身が基本的な仕組みを知らなければ、節税の提案も受けづらくなってしまいます。
２．不動産オーナーの節税対策：基本の6つ
不動産オーナーが行える節税対策には様々な方法があります。ここでは、代表的な6つの方法をわかりやすく紹介します。
1. 青色申告を活用する
不動産所得がある場合は、青色申告を行うことで最大65万円の控除が受けられます。また、配偶者や子どもに仕事を手伝ってもらい、給与を支払うことでその分を経費にすることも可能です（※条件あり）。
→ ポイント：事前に「青色申告承認申請書」の提出が必要なので注意！
2. 減価償却を理解して活用する
建物や設備などは「減価償却」によって、年数に応じた金額を経費として計上できます。
例えば、築古物件を購入した場合、法定耐用年数が短くなるため、減価償却額が大きくなり節税効果も高くなります。
→ ポイント：土地は減価償却できないので注意が必要です。
3. 修繕費を計画的に活用する
「修繕費」は経費として計上できますが、同じ内容でも「資本的支出」とみなされると減価償却扱いになります。
例えば、壁紙の張り替えや給湯器の交換は修繕費に該当することが多く、その年の経費にできるのが大きなポイントです。
→ ポイント：金額や修繕内容の記録をしっかり残しておきましょう。
4. 不動産管理会社を設立する
家族を役員にして不動産管理会社を設立することで、収益の一部を法人に移すことが可能になります。これにより個人の課税所得を抑えることができ、節税につながります。
→ ポイント：税務署のチェックも厳しいので、専門家と相談の上で検討しましょう。
5. 法人化する（一定規模以上）
物件数や収益が増えてくると、個人より法人の方が税率が低くなるケースも出てきます。また、法人にすることで社会保険の活用や経費の範囲が広がるなどのメリットも。
→ ポイント：1～2棟のオーナーなら法人化より他の節税策を優先すべきことも多いです。
6. 相続を見据えた「小規模宅地等の特例」
将来的に相続が発生することを見据えるなら、「小規模宅地等の特例」は非常に重要です。一定の条件を満たせば、土地の評価額が最大80％減額されるという強力な節税効果があります。
→ ポイント：生前からの対策が重要。急な相続では適用できないことも。
３．節税を成功させる3つのポイント
節税は「仕組みを理解する」だけでなく、「実際に動くこと」が大切です。以下の3つを意識して実行しましょう。
1. 記帳・帳簿をしっかりつける
領収書や契約書を整理し、帳簿に正しく記録することで、正確な申告と節税につながります。クラウド会計ソフトの導入もおすすめです。
2. 経費の線引きを理解する
どこまでが「経費」として認められるか？家事按分の考え方や税務署の判断も知っておくと、トラブル回避にもなります。
3. 税理士は「丸投げ」ではなく「相談相手」に
税理士に全てを任せるのではなく、節税の選択肢や相談を自分から持ちかける姿勢が重要です。数字に強くなれば、収支管理も上達します。
４．初心者オーナーが今すぐできる節税チェックリスト
以下のチェックリストで、今日からできる節税対策を確認しましょう。
- ✅ 青色申告をしている
- ✅ 減価償却を理解して帳簿に反映している
- ✅ 修繕費と資本的支出を正しく分けている
- ✅ 家族に手伝ってもらい、給与を支払っている（事業的規模の場合）
- ✅ 領収書・帳簿・通帳を整理している
- ✅ 税理士と定期的に相談している
まとめ
不動産オーナーの節税は、一朝一夕では身につきません。ですが、「知っている人だけが得をする世界」であることは間違いありません。
節税対策を行うことは、単にお金を守るだけでなく、将来の資産を大きく育てる第一歩でもあります。まずはこの記事をきっかけに、「何ができるのか」を見直してみてはいかがでしょうか。
